「私」は旧友から、彼の妹・千枝子が夫の欧州出征中に神経衰弱のようになって“妙な話”をしていたと聞かされる。千枝子は、停車場の赤帽が夫の消息を訊ねてきたのに、千枝子が「最近手紙が来ない」と言うと、赤帽が夫のようすを見てこようと言ったというのだ。しかもその後再び出会ったとき、赤帽は本当に欧州の夫の消息を伝え、しかもそれが事実だったというのだ・・・不思議な事件に、少しひねった結末を用意し、芥川の才が迸る掌編。演出=水城雄。(C)アイ文庫【演出・朗読者について】秋山裕美は遠方在住、激務についていながら現代朗...